ある日、この地を通りかかった
鷹狩り帰りの殿様が、
お寺の門前にいた猫に手招きされ、
立ち寄ることに。
寺で過ごしていると、突然雷が鳴り
雨が降りはじめました。
雷雨を避けられた上に、
和尚との話も楽しめた殿様は、
その幸運にいたく感動したそうです。
それが彦根藩主の井伊直孝でした。
豪德寺は、直孝に支援され、
寛永10年(1633年)に再興しました。
その後、豪德寺では、福を招いた猫を「招福猫児(まねきねこ)」と呼び、
お祀りする招福殿が建てられました。
招福殿には、家内安全、商売繁盛、
開運招福を願うたくさんの参詣者が訪れています。
堂内には招福観音菩薩立像が安置されています。
塔には十二支のほか、いくつかの猫が飾られています。
全部で何体いるか、
ぜひ数えにきてください。
豪徳寺の招福猫児は小判を
持っておらず、右手をあげています。
招福猫児は、人を招いて「縁」を
もたらしてくれますが、
福そのものを
与えてくれるわけではありません。
人との大切な「縁」を生かせるか
どうかは、その人次第。
報恩感謝の気持ちがあれば、
自然とその人のもとに福が訪れる、
という教えから、小判を持たず、
右手だけをあげています。
三重塔を囲うように飾られた十二支。
よく見ると、「子(ねずみ)」のところには、招き猫の姿があります。
猫は、子にだまされたから十二支に
選ばれなかったという説もありますが、
豪徳寺では仲良く一緒に
過ごしています。
また、十二支は「子と猫」は北、
「卯」が東のように、
それぞれの方角に
合わせて配置されています。